NFL 2022-2023 シーズンのプレーオフから延長戦の新ルールが採用されます。
2010年から今までの延長戦のルールが制定され、2012年からレギュラーシーズンにも採用されて現在に至っている延長戦のルール（2017年レギュラーシーズン延長戦では１５分から１０分に短縮）では、基本的にはサドンデスですが、先攻のチームがタッチダウン、ターンオーバー以外のフィールドゴールで得した場合には、後攻のチームにも攻撃する機会が与えられるというものでした。またコイントスで勝ち、先攻したチームが2010年以降、１２回の延長戦のうち１０回勝利しており、その内７回が最初のドライブで勝利していることから、コイントスに勝ったチームが有利というような公平性を含めて、延長戦のルールに関する議論は長年に渡って行われてきたようです。
今回、その議論が改めて見直されるきっかけとなったのは、昨シーズンのバッファロー・ビルズ対カンザスシティー・チーフスのディビジョナルラウンドでの一戦でした。現在NFLの中でも最高のQBとも言われる2人であるジョシュ・アレン選手とパトリック・マホームズ選手の対決は第４クウォーター残り１３秒でチーフスがフィールドゴールで同点に追いつき、コイントスに勝ったチーフスが最初のドライブでタッチダウンを決めて４２－３６でチーフスが勝利。それまでの大接戦が一瞬にして幕を閉じ、ジョシュ・アレン選手率いるビルズのオフェンスを見られずに終わったことから多くのファンから落胆の声が上がりました。
そして、オフにはインディアナポリス・コルツとフィラデルフィア・イーグルスからの提案書が出され、論議された後に、全NFLチームのオーナーの投票によって可決されたポストシーズンの延長戦の新ルールの主な内容は下記の様になります。
※英文はNFL Football Operationsサイトのルールブックからの引用です。
日本語訳は、若干理解しやすい日本語的表現に変えてあります。
ARTICLE 4. OVERTIME IN POSTSEASON（ポストシーズンの延長戦ルール）
Following an intermission of no more than three minutes after the end of the regular game, an extra period of 15 minutes shall commence. The following shall apply:
正試合の終了後3分以内の休憩をはさんで、15分間の延長戦を開始する。
Both teams must have the opportunity to possess the ball at least once during the extra period, unless the team kicking off to start the overtime period scores a safety on the receiving team’s initial possession, in which case the team that kicked off is the winner.
延長戦では、両チーム最低１回はボールを持つ機会（攻撃する）が与えられます。但し、延長戦開始時にキックオフでスタートするディフェンス側のチームが、レシーブするオフェンスチームがボールを持つ際にセーフティー得点（自殺点）で得点した場合には、キックオフしたチームが勝者となります。
After each team has had an opportunity to possess the ball, if one team has more points than its opponent, it is the winner, subject to Article 5(a) below.
各チームがボールを持つ機会（攻撃）を得た後に、相手チームより多く得点しているチームが勝利となります。
If the team that possesses the ball first does not score on its initial possession, or if the score is tied after each team has had its opportunity to possess the ball, the team next scoring by any method shall be the winner.
もし最初にボールを持ち攻撃するチームが得点しなかった場合、もしくは、もし両チームがボールを持つ機会（攻撃）を得た後に同点の場合には、次にどの得点方法でも得点したチームが勝者となります。
以上が主な変更点となり、ポストシーズンのみに採用されます。